和食

米増 3月

数年来毎月通う表記の和食店を友人と訪問。この日は17時半から9名で一斉スタート。現在、関西屈指の予約困難店で11月までは予約がいっぱい。最近は常連客の予約だけで新規客は受け付けておられないと聞き及ぶ。コース料理の値段は使用される食材によって変動。この日はお酒を少しいただいて23000円に税金とサービス料のコース。

大阪の「本湖月」や「かが万」等で修行をされた46歳になる温和な人柄のご主人の茶味あふれる料理が口によく合う。かが万の修行中に週に一回お茶の稽古があったと聞き及ぶ。料理もさながら接遇も一級品で常連客、新規客の分け隔てなく丁寧にカウンター越しで楽しく話をされる姿も美しい。料理は奥のキッチンで行われ目の前で刺身の切りつけや盛り込みなどをされる。お弟子さんは調理師学校卒業の3名(4月からさらに1名入店)で奥さんの柔らかいサービスも秀逸。

この日の床飾は店主の米増氏の娘さんの作。最近は料理もさながら、これを見るのが楽しみになっている。

料理の写真掲載は控えるルールなので忘備録として献立のみ記します。

・座付 練りたての蓬豆腐(止め辛子)、桃の花弁を浮かべた白酒
・低温で火入した飯蛸の飯蒸し(振り柚子)
・蛤(桑名)の潮仕立て、若芽(鳴門)と筍(合馬)
・2kgオーバーの白甘鯛(宇和島)大根おろし、とろろ昆布、山葵
・ミル貝と剣先烏賊、菜の花
・白魚に叩いて魚醤で味をつけた蕨・蕗のとうを添えたもの
・渡蟹(坊勢)の身と卵と味噌を味付けしたもの。
(熱い茶碗蒸しと一緒にいただく)
・黒メバルと筍の煮物
・釜炊きご飯とお供(あさり時雨・花山葵・アカモク)
・晩白柚(熊本)とせとか(高知)に炭酸ゼリー
・練りたてのわらび餅と薄茶

酒豪の友人と一緒付だったのでこの日はお酒を5種類いただきました。

過去の米増はこちら

大阪市北区大淀南1-9-16


カテゴリー 福島, 和食 |

三ツ輪食堂 3月

かれこれ40年以上通っている大阪木津卸売市場にある表記の食堂を午前中に一人で訪問。大阪メトロの大国町駅、南海高野線の今宮戎駅から徒歩3分の場所に位置する。店の周りにはインバウンドで行列する海鮮丼屋や鰻料理のお店が並ぶ。早朝からお昼までの営業だけど客のビール注文率がかなり高い。2列に並んだカウンターのみの狭い店は雑然としていて神経質な方には厳しいかもしれない。

入店すると「今日は〇〇と・・・・・がオススメですよー」と必ずアナウンスいただくのもありがたい。カウンターの上には大きな鉢に野菜の煮物など数種類のばんざいが並ぶ。。ショーケースにはその日入荷のお造りや焼き魚などが置かれていてどれをいただいても間違いない美味しさ。

メニューはショーケースの中の単品以外にデラックス天丼、お造り定食、天ぷら定食、エビフライ定食、焼き魚定食などいろいろある。お店のシグニチャーメニューは「肉巻き」で大きな出汁巻きの中に甘辛く炊き込んだ国産牛肉を挟み込んだもの。単品だと850円でご飯と味噌汁がつく定食だと1350円。

お店は現在78歳の邦夫さんと弟の益雄さんのご兄弟2人で店を切り盛り。常連のお客さんの名前と好みの食事を全て覚えているのはさすが。

最初にショーケースの中にあった海苔と卵で魚を巻き込んだ錦糸巻きを所望する。この日は鯵の締めたものと明太子、青菜、生姜などが中に入る。これをおろし生姜の入った三杯酢につけていただく。

「お待っとうさん〜!」と言って出される名物の肉巻き玉子が到着する。あっさりした味つけでふわふわ食感。半熟に仕上げているのでご飯ととてもよく合う。自家製の漬物も美味しい。

味噌汁を粕汁に変更(プラス50円)する。このかす汁も名物で「だし感」がいい。鰹昆布出汁に魚の出汁が入って貴い味わい。

市場の中の駐車場は駐車券を宝くじ売り場に持っていくと2時間無料のサービス券が発行されます。ランチタイムもいいけど朝の訪問が個人的にはオススメです。

過去の記事はこちら

大阪市浪速区敷津東2-2-8木津卸売市場内
営業時間5:00~13:00
定休日 日曜、祝日、第2第4水曜


カテゴリー 大国町, 和食 |

梅市

東心斎橋にある表記の和食店を数十年ぶりに訪問。江戸時代からの関西料理を今に伝える関西割烹会のレジェンドと言われる奥田氏のお店。心斎橋駅から徒歩7分、長堀橋駅から徒歩5分の千年町のビルの2階に位置する。

階段で2階に上がり店内に入ると昭和の空気感を感じながら広いキッチンが見えるカウンター席に案内いただく。調理場は奥田氏と若い板前さん、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。

料理はコースですべて時価。この日は25000円で支払いは32000円でした。奥田氏はたくさんの弟子を輩出され。ミシュラン店もその中で2店ある。最高級の食材を使用し素材の特徴を見極め「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさと言われる。使われる器も上質なものばかりで見ているだけでため息が出る。

個性的なキャラのご主人は弟子の指導をしながら料理を作り、客の相手もされる。真昆布が不漁で難儀しているという話やその日使われる食材の話、独立して繁盛している弟子の話など喋り出したら澱みなく止まらない。。

座付きの白和え。こういった普通のものがびっくりするくらい美味しい。

大阪料理は2品目に前菜を出すのが正式。軸のついた金柑はかなり綺麗に炊かれている。牡蠣の時雨煮、大根と生姜の砧巻き、サーモン、昆布しめにした鯛の酒盗和えなど。

綺麗な蒔絵の描かれた煮物椀は蛤真薯。かなり柔らかく仕上げられる。脇には鶴菜と梅人参が添えられる。出汁の綺麗さと塩気の塩梅はお見事で塩味は薄いんだけど明確な味わいがある。これぞ生成りの料理なり。隣の高齢の客の出汁はさらに塩味を落としたものと言っていた。

続いての刺身は旬の平目に肝を添えて蛤の器で供される。手前にはパツパツ食感の甲烏賊と車海老。界隈でよくある熟成等はかけずにコリコリの状態で提供。刺身もこのお店ならではの切りつけと盛り付け。醤油には強いこだわりがあり生醤油を使用。それを出汁で割ってからさらに醤油を足すという作業。隣の高齢の客にはたまり醤油を出していた。

佐渡島の鰤を使った鰤大根。鰤の持ち味以上の味はつけない。鰤の旨みと脂の甘みが口いっぱいに広がる。魚の青臭さは当然皆無。残った出汁はそのまま飲めるほどの濃さでこれも滋味深い。。

ご主人が「今日は鮑が美味しいで」と言っていた鮑料理。仕入れ値が一つ7500円という徳島産の大きな鮑を丸ごと7時間蒸して少し炊いて最後に地をかけて焼いて仕上げる。大ぶりにカットされた身は出汁の味を含みながら鮑の旨みと水分をしっかり保ってプリプリ以上の食感でこれ以上美味しい鮑料理は食べたことがないと思えるもの。これぞ浪速千年の味。これには久しぶりにびっくりした。。

お酒はご主人が毎晩、夜飲んでいるという浦霞をいただく。その後で隣席の常連さんが持ち込んだ青森の豊盃を一緒にどうぞと勧めていただく。

カラスミ大根で日本酒が進みまくる。

揚げ物はクエ。潤や蕾菜などが添えられる。このクエも秀逸。。

食事はご主人自家製の生海苔を使った磯自慢ご飯をいただく。

名物の鯖寿司も一切れ。鯖の締め具合が素晴らしい。これも今までで一番好きな棒寿司かもしれない。

デザートは抹茶アイスと粒餡。ご主人の話も面白く楽しい時間を過ごせました。常連しか来なくて敷居が高い店だけど私は大阪ではもっとも美味しいと思う和食のお店です。

お店のHPはこちら

大阪市中央区東心斎橋1-6-3 ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576


カテゴリー 心斎橋/四ツ橋, 長堀橋, 和食 |