四天王寺前夕陽ヶ丘

まさる 2011夏

夕陽ヶ丘にあるヘビーユースする隠れ屋のような寿司店。私が最も敬愛する1万円以上出すなら絶対にここという店。。他店と圧倒的に違うのは寿司に愛情がある。愛情のレヴェルが全く違う。本当に美味しいネタをより美味しくと徹底的に考えられ手を掛けまくってより美味しくしている。。。                                                                                                                                       ワンシーズンに必ず1回いくのだがかれこれ10年は通っていることになる。。。 非常に不便な場所にあり(四天王寺夕陽ヶ丘駅徒歩5分)ながらお店には暖簾も看板も何もない。寿司屋とは絶対にわからない。客商売の気配すらない。。店内は白木のカウンター10席のみ。                                                                                                                                   昔から厳つい顔だが年々凄味を増す顔面をもつ店主の吉村氏とかれこれ見習いの時から10年になる若い板前君が丁寧な仕事をしまくっている。 最初に生ビールをいただいて喉をうるおし、造りの盛り合わせを所望する。。私の好みもわかっていただいているので好きなものばかり。。。                                                 tukurimasarunattu.JPG                                                                                                      白身はコチ、鯵、赤貝(秀逸)、剣烏賊の超甘い雲丹(北海道産利尻?)載せ、脂乗りまくりのぶっとい太刀魚のあぶり、一見鱧に見えるが穴子の霜降り(旨過ぎて死にそうになった。。。これ食べれば鱧はいらない)これだけでほぼノックダウン。。。旬の今本当に美味しい魚だけを一切れづつ盛り合わせてくれたという感じ。。時間が止まる旨さである。。。 torigaishako.JPG 握ってもらう前にお勧めのあてを所望。鳥貝は日本海の丹後産。旬の水シャコは瀬戸内海愛媛産。。。最近いい魚をいただくと産地がわかるようになってきた。。。結構俺ってすごいなとひとりごちする。       鳥貝は数秒湯に入れる。(と言っていた)貝の臭みも抜けて甘さが増す。。シャキシャキした歯触りも最高である。                                                                                                                  水シャコも今が旬獲れる量が少なくほとんど市場に出回らない。かつぶしと呼ばれる卵をもったミズシャコなのでその希少性は大したものである。いい日に来たと喜ぶ。癖のない甘みは普通のシャコはもういらないという感じとなる。。。麦焼酎がどんどん進む君。。。 kisuamatekareimasaru.JPG お酒をよそいきの日本酒(出羽桜吟醸)に切り替えて鱚の昆布締めからいただく。まさに旬まっただ中のキスは淡白な中に昆布の旨みがほんのりと香る。この時期のこの店の序曲の定番である。 まさにアペルトゥーラの奏でのよう。 続くアマテカレイは瀬戸内か九州だと思うのだが聞かなかった。鱚と同じように淡白な白身なのだが旬まっただ中のアマテカレイはモチモチしていて味が深く舌にまとわりつく旨みがある。。。 ヒラメの淡泊さとは対照的である。。。  sinkomasaru.JPG そこで本日のメインイベントのシンコの登場。。。3日前に入荷があったばかり(ちょうど虫の知らせがあった)のコハダの稚魚。。。金魚くらいのサイズらしい。。本日は奇跡の8枚付け。。 *ふつうは2枚とか多くても5枚というものしか見ない。。若い板前君がおろす担当と聞き及ぶ。。。多分寿司屋の仕事としては最も細かい仕事であろう。関西でこのシンコを置いているのはほとんど聞かない。。。 価格も安く仕入れたとは言ってはいたが1カン1000円以上取らないと合わないであろう代物である。。 見た目以上に旨みと脂があり、身はフワッとして柔らかくほんのりした香り、瑞々しくさっぱりした食感は夏の到来を感じさせる。多分出している時期は2週間と思うがめぐり逢えたらラッキー&幸せであろう。 初ものをいただいたので少しは長生きが出来るか。。。75日寿命が延びると聞いたことがある。。同伴した方が最近大病を患われたので今日はよかったかなとひとりごちする。美味しいと言っておられたので来てよかったと納得。。。 kohadamasaru.JPG 大きくなったいわゆるコハダも出していただき食べ比べをする。。しっかりと締められたコハダも味が深くなんとも言えずかなり旨い。。。全く別の魚のようである。しかし日本酒とここまで会うネタはないであろう。。。。 gomasabakamasumasaru.JPG 鯖づけは和歌山のゴマサバ。。この時期なのに脂乗りのり。粒マスタードの酸味が鯖と相性がいい。この店のスペシャリティーである。どうや顔の店主に降参。。。                                             旬のカマスも皮をあぶって大根おろしを乗せて食す。。香ばしさと皮の部分の脂が満腹中枢を破壊しどんどん食べたくなる。。。旨過ぎてあんまり言葉が出ない。。 kinkiawabimasaru.JPG キンキの握りは甘い肝と芽ネギを添えて。。。これも皮をあぶっているので香ばしくいろいろな味が混然となり一瞬にして胃の中に入ってしまう。。。 軟らかく煮られたアワビは噛めば噛むほど旨味が溢れるほどに染み出てくる。端っこのぶよぶよのゼラチンたっぷりの部分をいつも切ってくれる。実はこの部分大好物。。個人的にアワビの縁側と呼んでいる。かなり大きなサイズのアワビは食べ応えもある。。この店の煮アワビは東京の甘ったるいものと違い加減も程よく間違いなく旨い。。。心の奥深くにしみ通るあじわいである。煮蛤も同様。。。魚をどうすればもっと旨くなるかを最高に知りつくしておられる。。。 ebimasaru.JPG 車エビもこの店のスペシャリティ。。。味噌を射こんでプリプリで美味しいのは当然なのだがその立ち姿も凛々しい。。。。見た目の美しさだけでなく間違いなく食べやすい。。このエビの握りはいつも頭が下がる。。。開高健ではないが魔界でしか出会えない味とあえて表現をしよう。 unikanihamaguri.JPG 毛ガニの身とミソをシャリに混ぜた蒸し寿司に淡路産のウニを乗せたもの。。。香りも強烈。体中に生気が湧き起こり活力がみなぎる。せやけどこの仕事は少しやりすぎ。。。。こんなんばっかりやっとたら死人が出るぞ。。。それくらい旨い。。。これをどんぶりいっぱい食べたい。 煮蛤も最高の火入れで全く固くなく例えるとミディアムレア。。貝の甘みが炸裂で、恍惚感に包まれる喜びを感じる。旨いという次元でなくもはや快感である。。 anagofukusatamago.JPG 白焼のアナゴはホクホクで脂たっぷり。。。いつもは鰻なんだけどよっぽどいい穴子と思われる。 袱紗玉子は出汁がたっぷりで最高の口直しである。 お酒も思いっきりいただく。。いつもこの時点で帰りたくなくなる。。。もういっぺん最初から食べたくなるのは私だけか・・・・ また明日も食べたい。。。来月も食べたい。。。ほんとに思う。。のりちゃんミシュラン5つ星のお店。。 御馳走様でした。 大阪市浪速区下寺2-3-10  06-6649-7227 17:00~1:00


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まさる 7月

弁護士のケンちゃんと寿司三昧の会。 夕陽丘のまさる。。。まずは生ビールで乾杯。。お造りは今が最高の時期「あこう」、コリコリの「ケンイカ」、ひたすら甘い「ウニ」、脂の焼けた感じが香ばしい「あぶり太刀魚」、香り最高「赤貝」、皮目をあぶってスープにつけた「鱧」、シマアジ。。これでビールをまず2杯いただく。。。 tukuri7.JPG 鳥貝は天橋立産。。今最高に流行っているブランド鳥貝。。身は分厚く加熱することで甘みが出てコリコリのしゃきしゃき。。貝の甘みがジュワ~と出て最高。。溜息もの・・・・ torigai7.JPG 煮アワビもいただくが趙デカサイズなので旨みも最高にのって電気ショックを受けたような衝撃あり。 肝も秀逸。。日本酒立山に切り替えてぼちぼちいただく。。。 awabi7.JPG そのあとアコウのアラがあると聞き骨蒸しにする。ゼラチン状の身がぷりぷりでしゃきしゃき手づかみでしゃぶりつきまくり。かなりでかいサイズなので食べ応え満点。。。我を忘れる至福の時。。。 白甘鯛の昆布締めから寿司はスタート。。カマスも皮目をあぶって香ばしく旬まっしぐらの最高のネタ。 コハダも新物のシンコが出てる一方年中で一番大きなサイズもある端境期で一丁付の大きなもの。。しっかりと締められてかなりええ塩梅。。まさにコハダを食してると実感できる感じか。 iroiro.JPG 大好物のエビはひたすら甘く。。大きなハマグリもシコシコでいつもながら絶妙な火入れ。。小さな茶碗に温かいシャリに毛ガニとその味噌を混ぜ込んでウニを乗せたものも御主人のスペシャリティーで横の客も「なにこれ~」とひたすら感動していた。。蟹の旨さと蟹味噌とウニの組み合わせは日本酒とベストマッチ。ちょっとやり過ぎ感もあるが旨いものを追求していけばこうなるのであろう。。。 最高のぜいたくを一口で味わえる幸せがこの店にはある。 そのほかにもキンキやカレイなどいろいろ出してもらうがあまりにも旨過ぎて写真を撮るのを忘れてしまう。。最後は残った酒と一緒に超柔らかく炊きこまれたタコをつまみでいただきご馳走様。。。


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まさる 6月

今や老舗の風格を醸し出す夕陽ケ丘の寿司店。北新地の高級店ほど敷居が高くなく、しかしながら一級品の食材を選びぬいて私がいつも感心するくらいのええ仕事を普通にされるご主人のこだわりに敬服。 しかも価格は北新地の半額。。。。当日だと席が無いと思い、開店間際を狙って予約。到着すると先客がすでに何組か入っておられた。。人気ぶりがよくわかる。。。まだ夕方の5時半だぜ。。。。。 masatukuri.JPG 最初に造り盛り合わせを所望。ねっとりとして独特の脂の風味を持つコチは今が旬。。シマアジも秀逸。軽くあぶった太刀魚も身と皮の間からええ脂の風味を感じる。。。皮の部分だけ加熱された鱧も滋味深い上品なええ脂を感じるし、巨大なこれ一つ何ぼするねんと思われる蒸しアワビはそのサイズしか醸し出すことが出来ない深いあわび自身の味を感じる。。。もうこれだけでノックアウトされてしまいそう。。。これだけでビールを2杯いただく。造りを食べて「ほなさいなら」というのもつらいので寿司をいつものようにどんどこ握っていただく。。。 sono1masa.JPG お始めのキスの握りはまさにかそけきお味。。軽く昆布で〆て中に木の芽を射こむ。。これぞまさに初恋の味か(笑) アマテカレイはまさに名のごとく上品な甘い脂を感じる高級魚。鰯の漬けは軽くあぶられて余分な脂のくどさを落として握られている。。周りの客もこの鰯はすごいと絶賛していた。。仕入れの目利きもさながら仕事の確かさは超一流。カマスの握りも皮をさっとあぶっておられる。握られる寿司は形も端正で気品漂う麗しいもの。 sono2masa.JPG キンキの握りは肝と芽ネギを乗せて。。。皮目も深い味があってどこまでこの店主は私を別世界に連れて行くのかと思えるくらいの佳品。。。コハダは堂々たる1枚付け。。。しっかりとした締め具合はまさにディスイズコハダ(そのままやけど・・)を確認できるもの。。日本酒との相性は比類なし。。本当はこの時期に出るシンコ(稚魚)を狙って訪問したんだけど仕入れが1キロ5万円とのこと日本中のどの魚より高いやんけ~って感じ。。。歩留まり半分として100グラム1万円の肉食えるやんけ~と驚く。。。シンコは次回の楽しみにして続いては春日鯛の昆布でぐるんと巻いたのは写真撮り忘れ。。。(残念) 続いてのエビはこの店の今やスペシャリティ。射こんだエビ味噌と絶妙な火入れによるエビの甘みが超最高。。。エビ好きの私は失神寸前になる。。続いてのトロは食べれないのでパスしたが見ただけで素材の良さは了然である。 hamaguri.JPG これもご主人のスペシャリティで煮蛤。。同じようなものを出すところが最近増えたが似て非なるものが多く素材と火入れが超ハイレベルすぎ~である。ふわふわして貝の味がしっかり残って味も濃すぎずこれも日本酒にドンピシャである。。。ほんま・・あんまりにも旨過ぎて昏睡状態に入ってしまいそうやった。。 masa3.JPG 続いての鰻もスペシャリティ。。。熱々の鰻は寿司店では反則技。。。旨過ぎイエローカード。 シャコは卵が入りまくってパンパン状態。。毛ガニは味噌を乗っけてまさに今が旬。。。名物のふくさ卵も出汁の味といろんな魚や野菜が入って実に楽しい。。。 uni.JPG ウニの握りは「やっぱウニは北海道やね・・」との私の感想に「それ淡路産です」との答え。。私の知る限りの淡路島や日本海付近で取れるウニの淡白さとは全く別物。。もちろんミョウバン臭さは全くなし。こんなええレベルのウニも久しぶり。。「6月になって淡路のウニも美味しくなってきましたなあ・・・」と普通に話す御主人の吉村氏。。 sono4masa.JPG 普段あまり食さないホッキ貝もコリコリで美味しすぎ。。新しいせいか貝の癖全く感じられず。。。小柱もいただいて。。。お腹パンパン。。。 takomasa.JPG 焼酎がグラスに残っていたのでタコの柔らか煮を所望。。粒マスタードとの相性も秀逸で形を崩さずにここまで柔らかくなるタコ君にも敬服。。。日本料理店真っ青の技術。。。まさにあっぱれとしか言いようがない。。。この店来たら普段の倍は食してしまう。。。私の中のキングオブ寿司屋。。。


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