天ぷら

天麩羅 佶祥

終戦記念日に地元の護国神社にお参りに行く。毎年のことであるがフィリピン沖で死んだ叔父をはじめ、栄霊の御霊の安らかならんことをお祈りさせていただく。

2016-08-15 11.26.29

そのあと友人の紹介で日本酒研究家の友人と表記の店を訪問。こじゃれたカフェがたくさんある中崎町の路地の途中にある古民家を改装した建物でオレンジの暖簾が目印。

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まずはビールで乾杯。このグラスは富士山と言う名前らしい。泡の部分が雪みたいで楽しい。持ちにくいのが難点だがあまり気にならない。こちらのお店は紹介制で今回は後輩君がわざわざエントリーいただいた。

店内は大正時代の町屋を改装したというご主人の説明通りに大きな梁や土壁がいい趣を醸し出し、中庭には錦鯉が泳ぐ小さな池が見えて京都の小料理屋さんのような雰囲気。一枚板の銀杏のカウンタ−や品のいい版画がさりげなく飾られた上質感溢れる内装となっている。BGMはセンスのいいジャズ。

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座付きは嶺岡豆腐(牛乳羹)に北海道の生雲丹を乗せたもの。お店はカウンタ−7席のみ。そう思えばかなり贅沢な空間となっている。現在、東京・大阪に数十店舗の飲食店を展開する実業家でもあり、TV チャンピオンシェフNo. 1グランプリ優勝のスーパー調理師の店主が御弟子さんと2人で切り盛りする。

献立は税サ別の12000円のお任せコース一本のみ。苦手なものがあれば配慮いただけるようである。

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古伊万里の器に入った塩は日本の塩(高知産か?)、フランスの塩、モンゴルの塩、炭塩の4種類を使い分けて下さいとのこと。舐めて味を比べるが舌が鈍感なのかあまり違いが判らなかった・・・

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お造りはアコウの薄造り。見た目の美しさだけで美味しいことは判る。独特のさらりとした脂がのって滋味深い逸品。食器も九谷・伊万里・備前のオリジナルの作家物や年代物を使用される。

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天ぷらの扉は車エビから。世の中の天ぷら屋では全長10㌢以下のさい巻海老を使うのが普通であるがこちらでは15㌢オーバーの大振りの車エビを使用。甘みや食べ応えがワンランク上なのは言わずもがな。車エビの足の唐揚げに続きズッキーニの金山寺味噌を乗せたものが続く。

産地は忘れたけど太くて短い新種のオクラに自家製の唐墨を乗せたもの。大きな鱚に大根おろしと旨出汁のジュレを合わせたものをたっぷり乗せたものが続く。圧巻は剣先烏賊に北海道産と徳島産の雲丹を乗せて食べ比べ。

素材感を壊さず小さくひと手間加えることでより美味しく、楽しく供される。

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天ぷらにはご主人お薦めの日本酒を選んでいただく。一押しの「出羽桜の雪満々」。一口目は柔らかな米の甘味を感じるがさらりとしてキレもある。ふくよかな旨味と吟醸香もしっかりと感じられる「いい酒飲んでるな・・」と自分で感じられる上品な辛口のお酒。

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煮物椀はアコウの骨と身と蓴菜と粟麩。出汁も美味しくて「さすがテレビチャンピオン!」といった感じ。ご主人は全国技能五輪大会というコンテストでも銀メダルを取られていると聞き及ぶ。

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お酒の2合目はしっかりした純米酒をとのリクエストに応えていただき「ブラック鯉川」をすすめていただく。

アルコール度数と精米歩合以外は全て謎なお酒らしくラベルが黒塗りで詳細不記載とのこと。穏やかな甘味と醸造酒のような苦味と酸味も感じられて天ぷらにはかなりいい相性を感じる。これは燗をしても美味しくいただけるだろうと思われる。

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筍でもなくキノコでもない走りのマコモ茸はシャクシャクしてとても美味しい。卵黄をミディアムに揚げて好物のサマートリュフを乗せた物が続き、天国に一番近い島のニューカレドニア産の天使の海老は大葉を巻いて揚げられる。カリフラワーとブロッコリーを交配したと言われているロマネスコは僅かな苦味と青味、こりっとした食感が天ぷらの食材にドンピシャ。

甘鯛は皮を付けたまま揚げる和食のウロコ焼きの変形版。皮の部分は煎餅みたいで食感も楽しい。そのあとは水茄子のジュレ掛けと続く。

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花火柄のジャケットも楽しい山形正宗夏ノ純米を続いていただく。店主との楽しい会話もあって何をいただいてもハイレベルの美味しさ。

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大きな岩牡蠣は表面はぱりっと揚がっていて中身はレアに仕上がっている。これも旨出汁のジュレを掛けて供される。松茸と鱧を合わせた天ぷらはこの時期の出会いもの。

活帆立貝柱をすりつぶした物を揚げた物は口当たりもふわふわで貝柱そのままの状態で揚げたよりも旨味が強いような気がした。5回くらい揚げたり冷ましたりして根気よく仕上げるさつま芋はヘネシーVSOPと砂糖をつけていただくという楽しい趣向。

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〆は若布を練り込んだつるつるシコシコの冷たい蕎麦。とろろがかけられていて昆布と若布と鯛の骨でとった出汁の美味しさも秀逸。

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甘味は胡麻豆腐の黒蜜を掛けたものとフルーツを浮かべたパンナコッタのようなもの。さっぱりとして口当たりもいい。

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日本酒だけでなくいろいろなタイプのシャンパーニュもご用意していただいているので次回はご主人お薦めのシャンパーニュと好物のサロンをいただくねと言って店を出る。スタッフの方と一緒に姿が見えなくなるまでお見送りいただき恐縮する

北区中崎西1-6-24
(7席のみの紹介制)

天麩羅 吉祥天ぷら / 中崎町駅梅田駅(阪急)天神橋筋六丁目駅

夜総合点★★★☆☆ 3.8


カテゴリー 中崎町, 天ぷら |

天ぷら まつりや

地元の盆踊りに行った帰りに友人と表記の店を訪問。以前はお好み焼きやさんの居抜きこの4月の15日に天ぷらの専門店として出店。

堺の魚市場やなんばこめじるしにある「天ぷら 大吉」で修行をされた店主が独立。天ぷらだけでなく居酒屋メニューもあるのでチョイ飲みにもいい。

メニューは
・紅生姜・アスパラ・ナス・舞茸・エリンギ・エノキ・しめじ・蓮根・玉ねぎ・南瓜・ししとう・オクラ・山芋・鳴門金時・もち・ちくわ・チーズ・ウインナーが100円

・コーンかき揚げと野菜かき揚げ魚介類・エビ・穴子・ししゃも・イカ・キス・イワシ・タコ・ゲソ・鶏むね・つくねが150円

・クジラ・明太子・カレイ・ハモ・貝柱・半熟卵・豚肉チーズ巻き・万願寺ししとう穴子一本揚げが200円

・ズワイガニ足一本・大えび・大穴子・タコ足一本(ソースがけ)が300円

お得な天ぷら盛りは・1000円盛(8品)・2000円盛(17品)・3000円盛(25品)

天ぷら以外は薩摩地鶏たたき600円、中トロ900円、サーモン800円、タコぶつ600円、締め鯖600円など・・・

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この日は海老、たこクリームチーズのベーコン巻、アスパラベーコン、蟹味噌貝柱巻、玉蜀黍かき揚げを麦焼酎と一緒にいただく。大根おろしに天だしをたっぷり入れて食すんだけど衣がカリカリでけっこうずっしりとお腹にたまる感じ。コスパは内容を考えるとかなりいいと思う。

2016-08-06 22.31.12

帰りに近くの焼肉の「又三郎」でかき氷だけを食しに行く。改良を重ねた小豆は上品な甘さで生クリームと直前に合わせる練乳も軽くて美味しい。氷のカットも完璧で淡雪を食している錯覚を覚えるほどフワフワ。ざらざら感は全くないのにビックリ。

2016-08-06 22.33.38

抹茶金時も製菓用でない抹茶を濃い茶の濃度でぶっかけて提供。見ただけで美味しいワンランク上のかき氷であることがわかる。さすが一流店には隙がないことに敬服する。

大阪市阿倍野区西田辺町2-11-11
電話: 06-6607-8088

天ぷら まつりや天ぷら / 鶴ケ丘駅西田辺駅長居駅

夜総合点★★★☆☆ 3.0


カテゴリー 鶴ヶ丘, 長居, 天ぷら |

川原崎 6月

最近お気に入りの東天満にある表記のお店を訪問。2012年に開店された。谷町線南森町駅・JR天満宮駅徒歩5分。L字のカウンタ−9席でご主人と奥様で切り盛り。ご主人は関西天ぷらの名店「一宝」で長年修行。

夜は5,300円と8500円(いずれも税込)のお任せコース。品数は同じで食材の内容が異なる。今回は5,800円のコースを所望。

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乾杯ビールはサッポロのエーデルピルス。ホップの風味が強烈でキリンラガーとは全く異なる切れのいい綺麗な苦みが心地いい。

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突き出しは皮鯨と赤貝を酢味噌でいただく。付け合わせの蓮芋に清涼感が漂う。野菜のピクルスは天ぷらの合間の口直し。

2016-06-04 22.43.45

天ぷらの扉は車海老2本。海老の味噌もしっかり付けて高温の油と薄衣でレアに仕上げる。蒸し焼き状態で甘味がしっかりと感じられる。水茄子も適度に水分を飛ばしてカリッと揚げられる。さっぱりとした味わいに悶絶。「6月の鱚は絵に描いたものでも食べよ」と言われるさっくりと揚がった旬の鱚は天つゆで食す。

とても新鮮でさっぱりした味わい。泥臭さを少し感じたが鱚は河口にいるのでたまにそういうものに当たる。綺麗に桂に剥かれたとうもろこしは塩で食すとさらに甘々。旬の鱧は泉州産でホクホクで脂のりも抜群。オクラも皮が薄くてとても上質なもの。

2016-06-05 10.30.07

冷蔵庫にAYALAのブリュットマジュールを見つけたので所望する。価格も熟れているので最近よくいただくシャンパーニュ。シャルドネ特有の酸味のあるフレッシュでエレガントな口当たりとピノノワールの芳醇な味わいが特徴。きめ細かな泡立ちも美しく花のようなアロマも個人的に好みで、よくありがちな重さを感じないので天ぷらのような魚を多用する和食にドンピシャ。

これは白カビチーズと合わせてもいいと思うな・・・

2016-06-04 22.44.49

さつま芋はシルキークイーンを使用。安納芋と同様に糖度が異常に高いもので焼き芋状態にしてから揚げているので甘くて絹のような食感で栗きんとんを食べているような錯覚に襲われる。熱々の甘いさつま芋の天ぷらを冷たいシャンパーニュで流し込む。分厚い穴子も旬真っ盛り。旨みたっぷりで皮の部分の脂がとても美味しい。

琵琶湖の鮎と北海道産の路地栽培のアスパラ。どちらも風味が立ってワンランク上の味わい。追加でアオリイカを揚げてもらって富山産の白海老のかき揚げでフィニッシュ。

2016-06-04 18.37.04

〆のたくさんの海老が入っかき揚げ天茶はたっぷりの鮫皮でおろされた本ワサビが入る。

2016-06-04 18.44.48

デセールは本格的な抹茶アイス。総じて目配り気配りがしっかり効いていて特に奥様の気遣いに感動。今や超人気店になっておられるのでなかなか予約が取れないが2ヶ月に1度くらい死ぬまでずっと訪問したい店の一つです。

2016-06-04 19.38.06

帰りに最近オープンしてヘビーユースする「鯛之鯛梅田店」に立寄り熟成魚の刺身盛り1人前580円(写真は2人前)と冷酒を楽しむ。この店の刺身のコスパも驚愕なり。

*25年くらい前に難波の鴈治郎横丁(現在は精華通り)と呼ばれる精華小学校前に「天吉」という天ぷらの名店にずっと通い詰めた記憶がある。頑固とヘンコを絵に描いたようなご主人で井戸水を汲み上げて作る天ぷらはまさに職人技だった。

最初に剥きたての活け車海老が6匹続けて出され、そのあとも旬の素材をマスクをしたまま一言もしゃべらず黙々と専用の太い菜箸で揚げ続ける姿は何かに取り付かれた求道師のようだった。当時のご主人の天ぷらを揚げる姿をいまだに夢見る。まだ生きておられるかな・・・

大阪市北区東天満2-8-13
06-6881-6525
定休:水曜日・第二火曜日

川原崎天ぷら / 大阪天満宮駅南森町駅扇町駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5


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