心斎橋/四ツ橋

和洋遊膳 中村

西心斎橋の表記の店を友人と久しぶりに訪問。浪速割烹の名門「喜川」で修行されて約20年前に此方の店を出された頃はよく通った事を思い出しながら入店。この日は友人が予約してくれたお任せ高級コース仕立て。

ビールで乾杯して最初の座付きはタイラギ貝の白和えに雲丹を乗せたもの。胡麻の入った白和えの味がまったりしてとてもいい。。。お店はカウンタ−割烹スタイルでご主人を始めスタッフの方々が忙しそうに動き回るのを見るのも楽しい。

2品目は甘エビの殻で取ったビスク(スープ)。海老星人の私にはたまらない一品。まろやかで甘くてコクのある味わいで思わず「美味しい!」と口に出る。クリームが勝ちすぎない志摩観光ホテルと同じ味わい。修業先で学ばれたフレンチと和食の奇を衒わない基本をしっかり押さえた高次元の融合がこちらのお店の特色。

続いて食パンに海老のすり身と叩いた身が入った海老パン登場。

無花果のお浸しの下には奈良産の糸瓜が隠れている。シャキシャキの食感が楽しい。

お造りは天然鯛、剣先烏賊、鱚昆布締め、鱧湯引きに北海道産の海水雲丹を乗せたもの、甘エビと雲丹のユッケ風、鯵のなめろう。鯵のなめろうがネットリして突き抜けた美味しさ。それぞれの素材の良さは口に入れればすぐに判る。ここで甘口の日本酒に切り替える。

続いてはスッポンの茶碗蒸し。大きな身がゴロゴロ入る。いい出汁が出て何とも言えない美味しさ。濃いめの白ワインと合わせるといいと思ったがこの日は日本酒で最後まで合わせる。

冷菜の炊きあわせは夏野菜と肝ソースのかかった鮑の柔らか煮。一瞥しただけで涎の出る一品。食材同士の出会い(組み合わせ)がとてもいい。。

小振りの琵琶湖の鮎の火入れも完璧。頭からがぶりと2口で頂く。走りの大粒の銀杏は熊本産。あしらえは蓮芋とさつま芋。

お薦めの出雲富士なるお酒もおいし過ぎてぐびぐびお替わりしまくる。

ドンピシャの火入れで供されるビフカツも和と洋の融合でソースは和のテイスト。

肉と一緒に出される一口最中はフォワグラとクリームチーズと奈良漬けとその他何かが入った濃厚で甘くて塩気もあって酸味も感じる複雑な味な一品。ビフカツと一緒にいただくと独特の食べ合わせの妙を感じ思わず唸ってしまう。

〆のカレーは修業先の志摩観光ホテルのメインダイニング「ラ・メ−ル」と同じレシピのもの。私が飲食業を人生の仕事として志した30年前に高橋忠之料理長と言うフレンチのシェフがいてその方が作る伊勢志摩の鮑や伊勢海老を使った料理写真が美し過ぎて近鉄電車に飛び乗って食べに行った記憶がある。実際に食すと自然との共存が皿の上に描かれていて「火を入れて新鮮、形を変えて自然」というアンビバレントなシェフの哲学と矜持がしっかり感じられ感動した記憶がある。

このカレーも当時と全く同じレシピで完成まで数日かかると言っていた。イカや蟹がゴロゴロ入った甲殻の味が優しい味わいのシーフードカレーでこれだけ何杯も食べたくなる衝動に駆られる。

デセールは桃とバニラアイス。お腹がはち切れそうになるまで頂きました。お客筋も良くてとてもいいお店です。

大阪市中央区西心斎橋2-3-22


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ひろせ 8月

東心斎橋の表記の和食店を訪問。5月に初訪問したときに店主の細やかな仕事ぶりとお値打ちの内容、突き抜けた美味しさに感動してから3ヶ月後の再訪。カウンタ−8席とテーブル席で当然の事ながらカウンタ−がお薦め。若き店主はミシュラン1つ星の西心斎橋の「ゆうの」の出身で昨年10月に独立。手間ひまをしっかり掛けて作られる料理のコースは8000円のみ。場所は畳屋町の雑居ビルの1F。

先付けは旬の赤足海老と白木耳、翡翠茄子の胡麻酢掛け。一見地味に見えるが胡麻酢の塩梅が抜群に秀でている。思わず「美味しい!」という言葉が口に出る。

2品目は小芋と蓮芋の鯛味噌掛け。鯛の身がたっぷり入ったコクのある味噌とともに夏野菜を頂くと言う趣向。取り合わせのセンスも抜群である。

お造りを頂く前に秋田の新政の原酒を冷蔵庫で発見したので所望する。甘味が凝縮されていてかなり濃いけど飲みやすい・・・

新鮮な真魚鰹は皮目を炙っておろしポン酢で供される。身も厚く脂がしっかりと乗っていて旨味が口の中でしっかり広がる。旬の鱧は湯引きと炙りで食べ比べ。蛸は粒マスタードが添えられる。熟成の効いた鯛と軽く締めて大葉を射込んだ細魚もいい。

煮物椀は鯵のつみれ。口に入れると刺身よりも鯵の旨味を感じる事が出来る逸品。出汁の加減も完璧で薄羽蜉蝣のようなかそけき塩味が口に合う。こちらのお店の椀物の美味しさはここ最近では比類がないように思える。

炭火で丁寧に時間をかけて焼かれた甘鯛は自家製の柚味噌で頂く。火入れも完璧で日本酒を呼び込む味わい。

新潟県の鶴齢の夏仕様の原酒を奨めていただく。夏らしい酸味も感じながら芳醇な深いコクもあって焼魚にドンピシャのマリアージュ。冷え冷えだったのですっきりと頂く事が出来る。

箸休めは玉蜀黍豆腐に茄子や長芋等の野菜が入ったジュレを掛けたもの。ちょっとした料理でも細やかで美しい仕事ぶりに敬服。

最後は食パンをカットして衣にした仔牛のカツレツ。自家製のウスターソースも味わい深い。付け合わせの野菜は蓮根、陸ひじき、モロヘイヤ、金時草のネバネバ盛り合わせ。

食事は玉蜀黍ご飯。美味し過ぎて珍しくお代わりしてしまう。。。

デセールは上質な白桃と桃で作ったジュレとソルベの盛り合わせ。しっかり飲んでも一人1万円余の超ハイコスパ。他店だったら15000円くらいの内容。この先、予約の取れない店になること間違いなし。。。。私も帰りに9月訪問の予約しました・・・

前回のひろせはこちら

大阪市中央区東心斎橋2-8-23イケダ会館1F
06-7713-0543
17:00~翌0:00


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ひろせ

東心斎橋にある表記の和食店を訪問。ミナミの畳屋町の雑居ビルの1階の奥に位置する。昨年の10月に西心斎橋の「ゆうの」から独立したご主人のお店。ネット関係ではこのブログが初めての掲載。当然食べログにも未だ不掲載。。

食事内容はコース料理8000円のみ。カウンタ−8席と4人掛けのテーブル席が2つ。奥のカウンタ−に案内いただき最初に瓶ビールを所望する。「ゆうの」のコースは10000円と13000円だったと記憶する。

先付けは筍と蕗、独活、アスパラの軸部分、蕨を丁寧に盛り合わせて上に蕗味噌がかかる。蕗の薹で作った蕗味噌は本来もっと茶色に仕上がるものが多いがこちらは目にも麗しい仕上がり。これだけで丁寧な仕事をされる方と理解。

2皿目は旬の赤足海老をじゃがいもの衣で揚げたもの。あしらえは素揚げされたズッキーニと一寸豆。底に敷かれているのが赤足海老の頭からとった味噌ソース。コクと深みと若干の辛味もあって、海老好きの私にはたまらないモノ。あまりにも美味しいので日本酒を所望する。

ソムリエバッチをつけたご主人にセレクトいただいたお酒は春限定の「春霞 瓶囲い」。春酒らしく香りはフレッシュできめ細やかな舌触り。しみじみとした旨味のある辛口の酒。

初めて頂く山口の長陽福娘の無濾過の生酒は旨味たっぷりのどっしりした印象。複雑な味わいは無濾過ならではのもの。山口県内の鑑評会では大吟醸の部・純米の部でいずれも最優秀賞を何度も受賞する有名な酒蔵のものであとから出た鴨ロースにドンピシャの相性でした。

お造り5種盛りは北寄貝(上にかかっているソースは失念)、皮を炭火で炙ったカマスの焼き霜、ホタルイカに酢味噌とマスタードを合わせたソース、北海道の雲丹と鰈の奈良漬け巻、ショウサイ河豚のてっさ。。これらを少しずつ日本酒を楽しみながら頂く。

煮物椀は旬の黒メバルの葛打ちしたもの。脂ののりもよくて出汁の表面に甘い脂が浮きまくる。一口目の味覚反射反応では淡く感じる品のある出汁もかなり上質。最後まで頂くと味わいから美味しさへシグナルが変化する。添えられた木の芽の香りがメバルの脂と相まった出汁と連合学習を引き起こしながら新たな食経験として視床下部にインプットされる。

炭火で焼かれたサクラマスには豆腐で作ったソースが敷かれ、コゴミと三度豆が添えられる。炭の香りに包まれたパリパリに焼けた皮としっとりした脂があるのにあっさりとした味わいの身部分の間にも旨味がしっかりと感じることができる。

口直しに土佐香美トマトのレモンソース掛け。糖度も高くて濃い味わい。さっぱりとしてとてもいい。

炭火で焼かれた鴨ロース肉にはバルサミコと苺ジャムがで作ったソースが敷かれる。鴨は外国産だけど舌触りが良くて柔らかい肉質のものを選んで使っていると店主の弁。

食事は桜えびを揚げたものと薄い豆をあわせたご飯。どの料理もちょっとした手仕事が光りまくる。

最後は胡桃と胡麻のアイスでお腹いっぱい。。。この内容でお酒を頂いて一人一万円弱の会計。実はこんな店がありそうでなかった・・・・他店なら15000円くらいの内容。献立は月替わり。5月は連休終了後献立変更との事なので私はもう一度訪問します。ワインも多数揃っています。持ち込みの場合は抜栓料3000円。

大阪府大阪市中央区東心斎橋2-8-23イケダ会館1F
06-7713-0543
17:00~翌0:00

ひろせ日本料理 / 心斎橋駅長堀橋駅大阪難波駅

夜総合点★★★★ 4.5


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