梅田/JR大阪

ふく吉 9月

8月に友人に連れていっていただいてから2回目の訪問。新地の名店「平野」から独立されたご主人の福田氏の作る料理は食材のこだわりと嫋やかなる仕事ぶりと繊細な食味は私の中で最近のスマッシュヒットなり。「広川」や「多田」ほど敷居が高くなく、ご主人の謙虚な人柄が寿司をよりいっそう美味しくさせる。お店の名前は「ふく吉」と書いて「ふくよし」と読む。食べログの掲載も現在私だけ。。

2013-09-12 19.02.46

生ビールで乾杯をして座付きはいちじく。。最近は和食店で頂くことの方が多くなった。。天ぷらや炊き合わせでよく頂くが今回はストレートでおろした生姜がアクセント。水菜と珍しい水玉順才。。初秋の珍味である。

2013-09-12 19.07.31

衣被ぎ。。秋を感じさせる逸品。こういった普通のものがとってもいい。。しみじみ美味しいなあと感じる商品である。

2013-09-12 19.12.39

8月にも頂いたメイチ鯛。。関西ではマトウダイとも言われる。。魚体自身は黒っぽいんだけど実は白身でねっとりとしていいて味も深く熟成感も感じさせる刺身。。この時期最高に美味しい白身魚の一つ。

2013-09-12 19.19.38

鰹のたたきは美しく包丁された薬味が山盛り。。私は苦手なので別のものにしていただく。このような融通も普通にしていただく。店主と寿司の話や使われている包丁の話しなどたわいもない話で盛り上がる。

2013-09-12 19.19.44

大きな細魚も今が旬。。春の細魚よりも秋口のものが味がしっかりのっていて美味しいと私は思う。鮮度も抜群・・

2013-09-12 19.29.21

松茸と菊菜と菊花のお浸し。重陽の節句ということで出てきた一品。この料理を頂くために麦焼酎を頂く。。

2013-09-12 19.41.04

そして前回も感動しまくった蛸の柔らか煮。よく似たものを出す店は多いのだけど柔らかければいいというものではない。生きたタコを下処理をしてじっくりと炊き込む特別な調味料も使わない。。最初に大根で叩くのだけど叩く繊維の方向や叩き方までコツがあると言っておられた。そしてそこに根気よく綿密にしっかりと味を入れていく。倉掛された酢みその加減と下に敷かれた山芋の素麺も完璧。

2013-09-12 19.48.10

前回はベーコンだったが今回はさえずり。。いわゆる鯨の舌。。塩気もきつくなく臭みやクセも全くない。切り口も秀逸で「ああ、おいしいわ」とついつぶやいてしまう。。

2013-09-12 19.55.30

鯛の身を熟成させて小口に切り鯛の内蔵で作った酒盗であわせたもの。切り身の大きさや熟成期間など何度も試したと言っておられた。。日本酒に合わせると最高に美味しかった。。

2013-09-12 20.00.02

冷やおろしの石川県の宗玄の純米吟醸。やや辛口で濃醇タイプ。口に含んだ瞬間、甘味を感じるけどその甘さが後に残らずに軽い酸味が広がる。どっしりとしたボリュームもかんじられてこのお店の料理にぴったりのお酒である。

2013-09-12 20.03.46

秋刀魚の焼きものは脂のりもよくてかぼすと大根おろしと辛みのある米麹の味噌と一緒に食すと味の広がりと深みが出てとてもいい。日本酒で口を洗い流しながら頂くとここが寿司屋であることを忘れてしまいそうになる。

2013-09-12 20.15.31

鱧と松茸の土瓶蒸し。私が来るからということで高価な韓国産の鱧を仕入れていただいたことに頭が下がる。当然のことながら皮が柔らかくて身は甘くて脂のりも素晴らしい。そして嫌な魚の匂いやクセは全くない。骨も全く気にならず国産の物と比べると遥かに豊潤でとろけるような食感があり高貴な味わい。日本酒と一緒に食すと舌先から五臓六腑がつながって別の生物体のごとく反応するのがわかる。

2013-09-12 20.27.45

この辺りから握っていただく。。まずは剣先イカ。熟成感もあって塩とスダチで頂くと甘みと旨味が増す。

2013-09-12 20.43.17

コハダは築地から仕入れる。やはりモノが関西のものとは違うようでコハダマニアの私は異なりが敏感にわかる。好みもあるであろうが塩のあて方、酢で締める時間、魚体自身の旨味などそれぞれのバランスを考えると私の中では1番ではないかと思う。

2013-09-12 20.55.10

生筋子のしょうゆ漬け。これもイクラ特有の臭みや魚卵特有のクセなどは全くない。旨味のみが味蕾を通して確実に大脳に伝達される。。。

2013-09-12 21.01.10

このお店のスペシャリティーの穴子は笹に巻かれて炙られて登場。脂ののりも強烈でフワフワでトロトロの極み。。塩と煮詰めのそれぞれで頂く。この辺りになるとお腹もいっぱい。このあと味噌が甘いシラサエビと メイチ鯛のお腹の脂ののった部分を食す。

2013-09-12 21.07.46

〆のかんぴょう巻は海苔が美味しすぎる。。このようなものでも手を抜かない姿勢はさすが。

2013-09-12 21.08.55

最後は厚焼き卵。まるで表札のようなたたずまい。何を食べても美味しすぎる。。。

2013-09-12 21.37.56

そのあとは近くの軍人バーでひと休み。

大阪市北区西天満4丁目11番8号
営業時間:5pm-11pm不定休
Tel:06-6809-469

ふく吉寿司 / 大江橋駅東梅田駅なにわ橋駅

夜総合点★★★☆☆ 3.8


カテゴリー 梅田/JR大阪, 西天満, 寿司 |

ふく吉

表記のお店に友人6名と訪問。貸し切り状態で3時間くらい食事をゆっくりと楽しむ。6月に新地の名店「平野」から独立された福田氏は弱冠31歳。。若き店主の宮崎弁がいい味を出す。。7席のみのカウンターでお任せのコースを頂く。お店の名前は「ふく吉」と書いて「ふくよし」と読む。食べログにも記念の初投稿。

先日同じ「平野」から独立された店主が営む「清水」も訪問させていただいたがその内容の差を見るのも楽しみである。

場所はアメリカ領事館の北側。この辺りは北新地に比べてしっとりとした大人な店が多い。寿司店も白木カウンター12席の乾山系の「鮨 林田」やカウンター8席の隠れ家風の「鮨ろく」、ミシュラン1星の「鮨 美菜月などの高級寿司店の立ち並ぶ激戦区。

最初にビールで乾杯。。。

2013-08-29 20.43.41

突き出しは山形の茶豆。。こういった普通のものが存外嬉しい。。

2013-08-29 20.56.35

白木のカウンターのつけ台に直接魚や寿司が置かれる。脂乗りまくりの鯛とメイチ鯛。メイチ鯛のねっとりした舌触りと熟成された白身独特の旨味に驚く。磯釣りの夜釣りでよくとれるこの時期だけの高級魚。。

2013-08-29 21.06.52

「今年は韓国産の鱧の入荷がなくて」とご主人の弁。この日は沼島産の鱧の焼き霜造り。ワサビと梅肉と酢味噌の三種類。仕事も丁寧で皮も柔らかい。旨味も脂も充分乗ったかなりいい素材である。

2013-08-29 21.14.09

泉州のワタリガニを三杯酢で食す。蟹の味噌を味醂と出汁で味を整えたものがかかる。富山県の日本酒と一緒に頂くと目が飛び出るくらい旨かった。

2013-08-29 21.20.51

「平野」と同じ仕入れ先から入れる鯨ベーコン。塩気も少なくて鯨の臭みやクセが全くない。かなり上質である。。本来の鯨ベーコンてこういうものであることを再認識。日本酒との相性は言わずもがな。

2013-08-29 21.25.41

蛸の柔らか煮は灰汁を抜いた辛子を添えて。もちろん驚くほど柔らかい。舌でつぶせるくらいの硬度である。大根で叩いてジアスターゼを細胞にしみ込ませて炊いているのであろう。かなり高度なテクニックと手間が必要な一品である。しかし美味しいので一瞬で食してしまう。

2013-08-29 21.29.55

鯛の酒盗和え。軽く塩で締めているので水っぽさは全くない。ああ美味しいねえとつい口に出る逸品。

2013-08-29 21.42.55

出始めの秋刀魚。皮はパリッとするまでしっかりと焼き込む。辛み大根と酢橘で食せば目眩がしそうなくらい美味しい。秋刀魚ってこんなに美味しいものなのかと再認識する。

2013-08-29 22.00.34

ここで煮物椀登場。。旬の松茸と鱧の出会いコンビ。鱧は丁寧に骨切りされて吉野葛を薄くまとう。水なすを丁寧にむいて翡翠色になるように火入れする。鰹節のよく効いた塩分濃度低め(塩と醤油と合わせて0.7%くらいであろうか)の出汁はとても味わい深い。鱧の脂もじんわりとにじみ出てしんみりとしたええ塩梅となる。

2013-08-29 22.26.05

ここから握りの始まり。。シャリはほんのり温かくてやや固め。大分産のヒノヒカリを使用しているとの事。まずは少し塩をして締めたメイチダイ。。。煮切りとの相性もいい。

写真

大好きな細魚はかなり甘い。仕入れを吟味されている事がよくわかる。。パッと見た目は普通だけどこういった魚は食材の産地、輸送、下ごしらえそのすべての要素が変わるだけで確実に食味が変わる。

2013-08-29 22.30.08

瀬戸内の釣り鯵。。握りのビジュアルも美しい。綺麗なものは美味しいと昔から決まっている。甘い脂が大脳を刺激する。。80センチはある大きな包丁を使って出来るだけ魚の細胞を壊さないように静かに切り付けをするご主人の姿は31才に見えない。。

2013-08-29 22.33.56

細かく目を入れた剣先イカはひたすら甘い。。コリコリしているだけでなく適度に熟成をさせているのであろう。旨くて甘い。。

2013-08-29 22.34.06

お店は男性2名と給仕の女性で行なう。ワインやシャンパンなどもそろっていてそのようなマリアージュもありと思う。仕事の所作や手元がとても美しいご主人お仕事ぶりは見ていてとても面白い。貸し切り独特のお店との一体感があってかなり会話も盛り上がる。

2013-08-29 22.36.00

かなり大きなシラサエビ。甘みが上品。。味噌もとっても美味しい。レアに湯がかれていて海老の旨味が最大限に活かされている。。海老好きの僕はかなり嬉しい。。

2013-08-29 22.48.17

「平野」や「清水」と同様の脂ののった穴子を熊笹に包んで温め握る。煮詰めもかなり上質でかなりの時間と手間がかかっている感じ。フワフワのトロトロでこの店のものがたぶん究極の穴子の握りであると断言出来る。。

2013-08-29 22.55.39

皆が鉄火巻きを頂いている間に私は剣イカの耳を所望。コリコリして美味しい。

2013-08-29 23.00.39

かんぴょう巻が出てきて口直し。。もうこの頃になるとお腹がいっぱい。

2013-08-29 23.01.29

最後はデザート代わりの玉子焼き。これも平野と同じお約束の美味しさ。。雲丹とかも頂いたんだけど写真撮り忘れ。。かなり上質な材料と仕事でいい時間を過ごさせていただいた。

大阪市北区西天満4丁目11番8号
営業時間:5pm-11pm 不定休
Tel:06-6809-4696

ふく吉寿司 / 大江橋駅東梅田駅なにわ橋駅

夜総合点★★★☆☆ 3.8


カテゴリー 梅田/JR大阪, 西天満, 寿司 |

鮨 清水

偶然ある方からご紹介いただいた福島にあるお寿司屋さん。マンションの3Fにある隠れ屋。常に満席なので予約は必須。お店に入るとカウンター8席のみ。あと別に個室もあるとお聞きした。かなり高そうな感じだが何も言わずに黙って座ってすべてお任せでお願いする。

2013-08-14 19.30.15

最初に生ビールをいただきながら先付けをいただく。素麺の上に鱧と松茸の乗ったもの。今年始めての松茸。涼感のある座付きはかなりいいセンスである。素材感たっぷりでこの店のもつレヴェルが伺える。

2013-08-14 19.34.47

徳島の鯛。かなり美味しかった。。春先に美味しくなって産卵をして今からよく肥えてくる走りの鯛である。パクパクと食してしまう。

2013-08-14 19.39.01

続いて和歌山の鯖。活かりけもあってコリコリしたフレッシュな状態。しかしベタ塩で2時間くらい締めてさっと酢に漬けた半殺し状態。かなりきっちりとした仕事をされている印象。生姜醤油でいただく。つい「おいしい!」と口に出る逸品。

店内はシンプルな感じで壁に安岡実篤先生の色紙があるのみ。お酒はかなりいろんな種類があってビール、シャンパン、白赤のワイン、日本酒、焼酎、ウイスキーなどタイプ別にたくさん置いておられる。シャンパンとお寿司ってよく聞くけど実は試した事がない。次回の楽しみにしよう。この日は最初に宮城の浦霞を所望する。

2013-08-14 19.48.37

グラスに入ったトウモロコシのムースは清々しい佳作。さっぱりしていてもトウモロコシの風味と甘さがちゃんと残っていてついどうやって作っているんだろうと考えてしまう。すべての仕事で伝統的な手業と斬新さのバランスにうなるものがある。

2013-08-14 19.44.49

活蛸は細かく目が入れられて食べやすくされている。もちろん見た目も素晴らしい。味も深くて日本酒によく合う。

2013-08-14 19.54.33

カマスの柚庵焼き。醤油が少し勝っているがこれも日本酒のあてにはぴったりである 。。写真で見えないが2枚重ねなり。

2013-08-14 19.55.45

日本酒のあとはシャンパンにしようか迷ったけど浦霞が美味しすぎてそのまま続けていただく。震災で酒蔵が潰れてしまったと聞いたが復興されている事嬉しく思う。

2013-08-14 20.03.47

茶豆は山形産ではないがかなり濃厚な味。こういったもので休憩しながらボチボチお酒をいただくのはかなり贅沢な時間である。

2013-08-14 20.10.56

そのあとピンピンの新しいホタテ貝の入った野菜サラダ登場。寿司屋で野菜サラダはかなり斬新。しかし旨いから文句はない・・・・それぞれの食材がかなり上質である。

2013-08-14 20.25.52

握りの最初はマトウ鯛。口の尖ったカワハギみたいな魚だった気がする。身はネットリして脂もあってかなり高級な白身の食感と味である。鮨はかなり小さなサイズ。女性向きであろう。

2013-08-14 20.29.37

僕はまぐろが苦手と言うと大きな蒸しアワビをごろんと大きく切ってくれて握っていただく。モチモチして旨味が凝縮されて死ぬほど旨かった。。

2013-08-14 20.31.47

コハダは一枚漬け。7月のシンコは1貫原価で5000円と言っていた。もちろん高すぎるので仕入れないと言っておられた。東京のコハダと違って真っ白になるまで締めないのが大阪の高級店の特徴。塩は多めにして酢はさっとつけている感じ。生っぽさもあって実にシズリーな感じ。

2013-08-14 20.35.10

鯵の締め方も同様.脂も乗っているのでかなり美味しい。。鯵なのに口の中で溶ける。魚の脂の融点が低いのかなと思っていたら豊後半島の関の鯵と言っておられた。

2013-08-14 20.38.31

生っぽさを残して浅めに湯がかれたシラサエビ。ぽりぽりした食感と強烈な素材の甘さは比類なきものである。車エビよりもサッパリした感じ。海老好きの私にはたまらない食材。

2013-08-14 20.54.00

お酒を旨口で所望すると賀茂鶴の大吟醸がでてきた。。かなり爽やかなんだけど辛すぎない。。瓶もゴージャスでワインみたいな感覚で飲める。

2013-08-14 20.54.04

しっかりとすり身の入った厚焼き卵。完全なる江戸前の仕事。カステラのように甘いお店もあるがいつも閉口する。かなりいい塩梅で焼かれている事に感心する。

2013-08-14 20.44.37

甘々の剣先烏賊。。食べやすいようにしっかりと目を入れている。烏賊は細かく目を入れれば入れるほど甘みが増すことは存外知られていない。

2013-08-14 20.49.36

淡路島のムラサキ雲丹はひたすら甘い。もちろんミョウバンを使ってないので見た目はイマイチなんだけど粒もかなり大きくて最上級の素材である。

2013-08-14 20.56.01

最後は穴子で笹の葉っぱに包んでいぶして加熱。。笹の香気も穴子に移ってえも知れぬ味わいとなる。

2013-08-14 20.57.52

塩とツメの2種類が握られる。塩で食せは身の甘みがグッと際立って穴子自身の香りも楽しめる。煮詰めはより香ばしさがましてパンチのある印象となる。両方とも甲乙付け難い旨さである。

ご主人も気さくで敷居もそう高くはない。価格も新地の同レベルのお店の約半分くらい。。デートにぴったりかな。。また秋までに再訪したい。。

北区堂島3-2-7サンライズビル3F
06-6450-0666
19:00~25:00/土23時
日・祝休み

鮨 清水寿司 / 福島駅渡辺橋駅新福島駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5


カテゴリー 梅田/JR大阪, 福島, 寿司 |