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LA視察2016  6月④

アメリカでは過去5年のあいだでで拡大した外食市場の60%は朝食が占めると言われている。日本でもチェーン店を中心に朝食市場の攻略に注力しているが朝食を主軸としながら利益を出している会社は存在しない。コンビニの台頭と行った理由も挙げられるがアメリカの外食チェーンのに見られる客を引きつける「そもそもの力」が不足しているということが原因に他ならない。

アメリカで最も人気の高い朝食のファミリーダイニングのIHOPを訪問する。1958年ロサンゼルスで創業。平日朝の8時には客だらけでウエイティング20分状態。店舗数は全米とカナダで1580店舗。年商は1店舗あたり1億8700万円。創業当初からパンケーキを主力としてワッフル、フレンチトースト、オムレツなど朝食向きのメニューがが豊富に取り揃えられている。これらのメニューは朝だけでなく、昼、夜いつでも提供されている。そのほかにサンドウィッチ、ハンバーガーやフレンチフライ、スープやサラダのようなものもある。

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営業時間は6時ごろから22時~24時くらいまでの店舗が多いが24時間営業の店舗もある。日本のファミリーレストランと同程度の座席数を持つ大型店舗がほとんど。一定の駐車スペースも確保。客単価は12ドルで決して安くはない。客層は女性のみならず幅広い年齢層に支持されていて、年齢が高めの顧客層も日常的に訪れる。

コーヒーをオーダーするとポットで置いていってくれるので、いちいちスタッフを呼ばなくていいのが助かる。しかしコーヒーの味はイマイチ。パンケーキは3枚のショートスタックが$4.99、5枚のフルスタックが$6.99。看板の朝食メニューのルーティートゥーティーフレッシュアンドフルーティー$7.99は卵2個、ベーコン2枚、パンケーキ2枚。パンケーキのトッピングはストロベリー、ブルーベリー、シナモンアップルコンポートから選べる。パンケーキ用のシロップも数種類用意されていて、各テーブルに用意されている。それぞれ好みに合わせて楽しむことができる。

すべてのメニューが対価に対する及第点またはそれ以上の価値を備えている。テーブルはパンケーキかそのコンボがほとんど。満席なので提供時間は15分くらいだがコーヒーのポットサービスがあるので気にならない。

安くはないがリーズナブルな価格でオーソドックスな安心と豊かさを感じる実質感のある商品を提供している。朝食だけに限らず、今回様々な業態のレストランを訪問して感じることは価格は概ね日本よりも高いということ。日本の外食産業は低価格の実現こそ勝利への道とばかり低価格を追求する企業が多く結局はいい結果になっていない。

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アメリーカーナという商業施設にあるチーズケーキファクトリーを訪問。全席350席がランチタイムから常に行列。手作り感と内外装の新奇性にとんだ経営で全米に160店舗1600億円の売り上げを誇る。ファインダイニングをトレードオフして客単価を15ドルから25ドルに設定し、1店舗あたりの売り上げは全米ナンバーワンの13.3億となっている。

名物の約40種類あるチーズケーキは自社工場でまとめて製造し、それ以外の料理はすべて店内で手作りされる。メニュー数は約200種類。メニューブックに写真がないのであらかじめ調べて行くかサービス係の方にお薦めを教えていただくのが賢明。

ピザ、パスタ、チキン、ステーキを始め各国の料理をアメリカンカジュアルにアレンジしたものなどかなり豊富でバラエティに富むメニューの中でバッファローチキンとイカのフライをクラフトビールとともに所望する。

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メインディッシュは海老の煮込み料理、アンガス牛と和牛をかけた牛のリブアイ、ステーキ、牛肉のタコス、サラダを所望する。どれもがボリュームと食べ応え満点。見た目以上に味は繊細で丁寧に作られている。

運営は店舗あたりジェネラルマネージャー1名、マネージャーが11名、パートタイマーが200名。お腹いっぱいでチーズケーキを食べることを断念する。

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アメリカではジュース業態も大変革があり新世代のジュースバーが大人気。最近日本でも耳にする「コールドプレスジュース」は低速低温圧搾タイプのマシンを使用することで酸化によるビタミンや酵素の損失を防ぐことが出来、栄養価が格段に高いジュースができると言われている。素材を丸ごと使うので無農薬かつ“100%オーガニック”の素材が使われる。

多くのジュースバーではコールドプレスジュースのスタンダードサイズ(16オンス)ボトルの横に、ヤクルトのようなサイズのミネラル分やプロテイン、生薬、アダプトゲンといったさまざまな美容成分が高配合で入っているボトルが置いてありそれも一緒に合わせ飲む。
またそれらのジュースはデトックス効果が認められ、食事の代わりにジュースを摂ることで内臓を休ませ、必要な栄養を補給しつつ体内の老廃物を一掃できる。いくつかのジュースバーではジュースクレンズのプログラムやメニューがあり、数日間ジュースだけで過ごすことを推奨している。

アボットキニーに店舗を構える「Kreation」はメニューも幅広く、約20種類超。クレンズに特化したラインや、よりたくさんの素材を入れてバージョンアップしたライン、成分を濃縮させて注射器に入れて口から取り入れるラインなど充実の品揃え。

店舗内に色とりどりのボトルがズラリと並んだショーケースは圧巻。さらに自分でベースや素材を選べるカスタムメイドのジュースもオーダー可能。

現在のアメリカの外食、小売りのベクトルは「自然」「安全」「安心」「地球環境に優しい」「健康」「手作り」「冷凍食品や工場の否定」・・・
このようなアメリカの食の潮流は10年以内に日本にも入ってくるものと確信する。


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LA視察2016  6月③

米国有力消費者情報誌で国民食のハンバーガーで最も美味しい店と評価されたザ・ハビットバーガーを訪問する。いわゆる冷凍でないパティと店で焼き上げる自家製バンズを使用する高品質バーガー。現在135店舗で昨年ナスダックにIPO(株式上場)を果たした。直火の炭焼きハンバーガーが核商品で女性客比率が高い(48%)ことでも知られる。モダンでウッディーな内装にオープンキッチン、混まずに商品を受け取るためのページャー(呼び出しベル)の使用、徹底した清掃などくつろげる食空間を演出している。

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オーダーしたのは炭火を意味する「チャーバーガー(Charburger)」のコンボでフレンチフライとドリンクが付いてきて6ドル95セント。Char Burgerは牛肉、タマネギ、トマト、レタスそれぞれがボリューム満点。バンズもふっくらしてとても美味しい。トマトは完熟のみを使用し、レタスは手でちぎっていると聞く。濃厚なチーズも入っている。炭の香りの付いた肉はとても香ばしい。

ハンバーガーのみならずチキン、トライチップステーキ、ビンチョウマグロも注文ごとに炭焼きする。つくり置きはないが10分くらい待たなければならない。すべてのメニューは食すと炭火焼独特の香ばしさを感じる。野菜がたくさん入っているので食味は軽い。

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全米のショッピングモールに入っているモンゴリアンバーベキューというお店。かなりB級なんだけど無性に食べたくなるときがある。バッフェスタイルで$9.99のお金を支払うと丼を渡されそれに好きな具材を入れて焼いてもらうシステム。
肉はビーフ、ポーク、チキン、ターキーの4種類。肉をたくさん入れすぎると後で野菜が入らなくなる。(手を使って肉を皿に押し込んで量を稼ぐなよ!って注意書きあり)

野菜(キャベツ、人参、ピーマン、もやし、メンマ、椎茸、マッシュルーム、トマト、赤キャベツ、ねぎ、シナントロ、チンゲンサイ、グリーンビーンズ、タマネギ、ベビーコーンなど)を選んで盛り込む。(この辺りでかなりこぼれまくる。)

仕上げにソースを選ぶ(BBQ、レモン、オイスター、スパイシー、ウスターソース)。適当に混ぜてもらいニンニクたっぷりスパイシーに仕上げてとリクエストする。

最後に店員さんが麺と葱などの薬味を乗せてくれて出来上がり。それをおもむろに大きな丸い鉄板にぶちまけて出汁やソースをかけながら長い2本の棒を器用に使って時計回りしながら焼き込む。それをフードコートの好きな席でいただく。いわゆる味の濃い、肉と野菜たっぷりの焼きそば。。間違いなくハマる味でビールにぴったり。

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この5年間で急成長の「BLAZE PIZZA」を訪問。

最大の特徴はBYO(ビルドユアオウン)。自分で商品の内容をカスタムできること。サブウエイなどと同様のスタイル。生地の種類やソースを選んで制限なくトッピングも乗せ放題で定額と言うこと。いくら乗せても直径約30センチのピザが7.95ドル+税というのはかなり安いと思う。生地やトッピングの食材はすべて手作りされる。

どこのお店も常に大行列。注文は最初にイートインかテイクアウトかを聞かれる(here or to go?と聞かれるだけ)。イートインと言ってBuild Your Own(具材・乗せ放題)か定番メニューかを尋ねられるのでBuild Your Ownと返答すると名前を聞かれる。この日は「ichiro!」と答える。

次に好きなピザソースを選ぶ
・classic red sauce (トマトソース)
・spicy red sauce (スパイシーソース)
・white cream sauce (ホワイトクリームソース)
・garlic pesto sauce(ガーリックペストソース(緑色のソース)

好みのチーズを選ぶ(モッツアレラ・ゴルゴンゾーラ・フェタ等・何種類でもOK)。「ミート」を選ぶ(ペパロニ・サラミ・ソーセージ・ハム等・何種類でもOK)最後に玉ねぎやピーマン、マッシュルームなどの野菜やオリーブ、香草を選んで終了。

私はちなみにトマトソースに、パクチー、ハラペーニョ、オリーブ,バジル,モッツァレラ、リコッタチーズ、レッドオニオンをチョイス。
ドリンクの要不要を聞かれてから会計。そのあいだに高温のガスオーブンでピザが焼き上がるという仕組み。食感は軽く一定の上質感も感じられる。フードコート等でよく見かけるアメリカンピザとは一線を画す。イートインの客のほとんどが楽しそうに食事をしているのが印象的。価格以上の価値はかなりあるというのが感想。


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LA視察2016  6月②

今回のLA視察で最も行きたかったお店の「Eatse」。2015年にサンフランシスコでオープンしたハイテク無人ボウル専門店。今回は年末にロサンゼルスの最新ショッピングモールにできた2号店を訪問する。

超モダンなお店はモニターとオーダー用の機械5台(iPad)が並んでいて小型のアップルストアのような感じ。店内には椅子やテーブは全くない。がらんどうな感じ。店員はコンシェルジュと呼ばれるアシスタントの方が1名だけ。提供されるメニューはスーパーフードのキヌア(南米産の疑似穀物)を中心としたボウル(丼)にワカモレをはじめとする新鮮な野菜や豆類を組み合わせた健康的なもの。キヌアは12時間浸水させてえぐみを抜く。チキン、ビーフ、ポーク、フィッシュは使用しない。メニューにカロリーやタンパク質重量表示がされる。定番ボウルメニュー8種(温製・冷製)はすべて6ドル98セント。自分流のカスタマイズも可能。料理はすべて店内で手作りされている。料理は名店の料理長が監修。

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注文は最初にiPad にクレジットカードやデビットカードをスワイプする。客は各々のブースに立ち、タッチスクリーンに映し出されたメニューから、好きなものを選んで注文する。再訪時にユーザーごとの購入履歴や好み、カスタマイズの内容などを全て記憶し、次の来店時にはそれらを反映した提案などもおこなってくれるとのこと。いわゆるアマゾンのコンテキストアウェアネスである。レシートは環境に配慮のためメールアドレスに送られる。

待っている間に客の名前とデザインされた画像が透過型液晶画面に映し出される。まさにお店全体がアーティスティックなロボットのよう。
商品が出来るとスクリーンに名前が映し出されて、指定されたロッカーのようなところを軽くタッチして自分で取り出す仕組み。

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注文して会計が終わると2分足らずでボウルが提供される。裏方では必死のパッチの人海戦術で作っているらしい。しかしその様子が全く見えないのがとてもクール。出てきたボウルには名前が印刷されたラベルが貼られており客はカスタムメイド感を感じることが出来る。

新鮮な素材とバランスを考えた調理とソースの味付けは味の濃淡があり混ぜれば混ぜるほど美味しくいただける。看板メニューのブリトーボウルはワカモレやタコスの皮が入ったメキシカンなテイスト。ベントーボウルは照り焼き味で枝豆や大根などが入るアジアンテイスト。No worry curryはレッドカレー、焼いたジャガイモなどが入ったエスニックテイスト。それぞれに商品力と高い価値を感じることができる。

ドリンクは糖分ひかえめのシトラスやジンジャー、マンゴーグァバなどのソーダドリンクがりこれも店内で作られている。
全メニューを通してヘルシー感あふれるものになっているのに敬服。ワクワクする空間でおいしくて健康的で便利で洗練された食事に感動する。革新性と公共性を兼ね備えた新しい食事提供システムである。

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そのあとは同じショッピンモールにある「EMC」というかなりカッコいいシーフードの店でシャンパーニュとオイスターバーを楽しむ。米国で獲れる様々な産地の生ガキを食す。フロリダの蛤とロングアイランドとカナダの牡蠣の食べ比べをする。あまりにも味が濃くて美味しいのでカリフォルニア産のkumamotoも追加する。

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オーガニック系アンチエイジング・レストランの「トゥルーフードキッチン(True Food Kitchen)」も私どもの会社のベンチマーク店。「ヘルシー」「低カロリー」だけでなく「美味しい」という食本来の楽しみも健康とともに追求するスタイル。この日は胡瓜のモヒートとともにサラダをいただく。

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様々なオーガニックな生野菜と一緒にモヒートを楽しむ。
この辺りは中間世帯所得が10万ドル(約1,100万円)を超すマンハッタンビーチという立地なので富裕層相手となるレストランやショップが多い。
使用される食材は枝豆、シラタキ、椎茸、豆腐が多く使用される。看板料理の「レタスラップ」はシイタケ、豆腐、カシューナッツを味噌味で炒めたものとニンジンの千切りをレタスと一緒にいただく中華料理でよくありそうなものをひとひねりしたもの。

「大豆発酵食品テンペ入りハンバーガー」は肉の代用品としてよく使用される、大豆を発酵させて作るテンペが入る。

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Mendocino Farmsはグルメサンドイッチのお店。日本には全くない業態でメニューだけでなくオープンエアーの店舗もカッコいい。メニューは温かいサンドイッチと冷たいものに分かれていて季節限定のものなどもあり選ぶのに苦労する。すべてのサンドイッチの素材はオーガニックでかつ厳選されていてシンプルな素材同士の味が重なりあって深い味を醸し出す。サンドイッチの価格はほぼ10ドルくらい。かなりかっちょいいお店です。


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