海外

ロサンゼルス外食視察 ②

忘備録を兼ねて過日に訪問したロサンゼルスの外食店の内容を記します。

ここ数年で店舗数を伸ばしまくっている2017年創業のハンドメイドクッキーチェーン店。全米で850店舗。1店舗あたり年商2億円以上という驚きの業績。日本のクッキーの3倍くらいの大きさでソフトな食感。

高級スーパーマーケットで惣菜の研究。健康志向を表現する野菜サラダロールは一つ2000円なり。

今回はハンドロール(手巻き寿司)の店を5店舗視察。それぞれの店で寿司の内容以外にも特徴があり、いい勉強になりました。

アジア系のスタッフが手で麺を伸ばすラーメン店。このパフォーマンスとトレンドの辛いスープの商品で大行列でした。

続く・・・・


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ロサンゼルス外食視察 ①

10月の下旬からロサンゼルスに外食店視察に行ってきました。15年以上に渡り、毎年続けており、大手外食チェーン店の定点観測と新規にできた繁盛店やイケてるお店、スーパーマーケット等の小売店を見てまわりました。1日に食事を7回くらい重ねる日を4日間続けました。

アメリカは先進国で唯一の消費人口と労働人口が増えている国で昔から新しいビジネスモデルが生まれ続けています。アメリカで成功しているビジネスを日本に持ち込んで展開するタイムマシーン経営はソフトバンクを筆頭に日本で頻繁に行われています。

今回の巨大な実験国家であるアメリカに未来予測と新業態のヒントを得るために友人10人とともに訪問いたしました。

空港近くの海鮮(特に海老)に特化したメキシカン。生エビのセビーチェはライムとオリーブオイルと塩以外に醤油のような調味料が入り後を引く味。メキシカンなクリームソースで煮たものやローストしたものなどエビ三昧の晩御飯。

マンハッタンビーチにあるおしゃれカフェは元郵便局を改装した建物。客層もおしゃれでお金持ちそうな人ばかり。スタッフさんは女優の卵がたくさん在籍。名物のベーコンの入ったビスケットをワインと一緒にいただく。

オレンジというオールドタウンにある朝食に特化したカジュアルダイニングを訪問。昔からあるアメリカンな朝食をかっこよく磨いたスタイルで早朝から大繁盛。

全米で大人気の手巻き寿司(ハンドロール)の専門店。温かい酢飯をパリパリの海苔で巻いて仕上げる。雲丹は地元サンタバーバラ産で甘くて大きくてえぐみ等は全くない。稲荷寿司の上にはマヨネーズ等で和えたロブスターの身がてんこ盛り。価格はかなり高いです。。雲丹は一つ4000円。

ファウンテンバレーにある日本式居酒屋。どの料理も丁寧に作り込んでいてかなり美味しい。ずっと昔にあった「なんちゃって日本料理」を凌駕する見た目と味わい。たこ焼きも現地ではブームとのこと。

続く・・・・


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Noma kyoto

世界一予約の取れないレストランとして知られるデンマーク・コペンハーゲンの表記のレストランがポップアップ営業を京都のエースホテルでするということで、昨年の秋にご招待いただき友人と訪問する。
ミシュランでは3つ星、ワールド50ベストレストランで1位が4回という現在のレストランで世界最高峰という評価でイベント申し込みも電話受け付けが30分で締め切ったとのこと。営業期間は2023年3月15日(水)から5月20日(土)までの10週間の週末のみ。

お店のジャンルはニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)というスタイルでコペンハーゲンの現地のお店では木の葉や苔、生きたアリなどを含む、北欧産の食材を使ったローカルメニューで有名。今回は京都をはじめとした日本の食材を用いた独創的な献立と聞いていた。

ホテルに入るとレストランまでの動線が様々な意匠を持って飾り付けられているのが目に入る。入り口ではサービススタッフ30人くらいがお出迎え。デンマーク人以外にも日本人をはじめ様々な国のスタッフが働いていると聞く。

大きな厨房にも30人くらいの調理スタッフが「Yes!」などの大きな声をかけながら動き回っている姿が見える。Noma のスタッフの多くは無給で15時間以上の長時間労働で勤務中の笑顔禁止と以前に聞いたことがある。ほとんどのスタッフは草花をちぎったり添え物のパーツ作りなどの単純作業に従事らしい。

レストランのテーブルは20卓くらいで着席順にコース料理がスタート。お酒は全てペアリング。天井からは意匠として大量の昆布が吊るされる。料理だけでなく食器を含めたもの全体がNomaとなっていて日本にいることを忘れてしまいそうになる。

食事のスタートは大きな籠に入った前菜から。湯葉と真っ黒に焼いた行者ニンンク、セミドライにしたトマトとトマトの花、麦麹と赤生姜、桜の葉、ポーレン(ミツバチが花から集めた花粉を蜜と一緒に練り合わせて団子状に固めたものでローヤルゼリーの原料らしい)ジェルなど。

5種類くらいの海藻のしゃぶしゃぶ。皮をむいた柑橘もしゃぶしゃぶにしていただく趣向。つけダレは抹茶のようだけど全く別の植物系のソース。

大きなキューブ状の氷の上に薄くカットした甲イカ。ウイスキーヴィネガーとスパイスで味付け。ビジュアル含めシンプルだけどかなり先進性に富んだ仕事。

スタッフさんのサービスも慇懃さもなくとてもフレンドリー。聞いたことは即座に何でも答えてくれる。日本の方も数人。。

京都産の白子筍はかなり上質。槍烏賊の出汁の入ったスープとともにいただく。食器は全て日本の作家のものを使用。

続いては脂ののったカジキマグロをバターのソースで。。私はマグロが苦手なのでパス。

マグロが苦手なことを伝えて5分後に大分の柑橘の紅まどかをマリネした料理が登場。底には昆布のオイルが敷かれる。完成された代替品がこのスピードで提供されることにびっくり。

青大豆を使った豆腐と生のアーモンドスライスと食用花。全てを混ぜていただくとたくさんの味の層が舌の上に重なって頭では理解できない独創的な美味しさとなる。

北海道産のキンキを串打ちして焼き上げ、味噌漬けにした卵黄を皮目に塗ったもの。魚の美味しさもさながら和食のような味わいでペアリングの日本酒との相性も抜群。

縦斬りにしてポシェした徳島産の蓮根を蒲焼き風に仕上げたステーキ風のもの。スーシェフ兼メニュー開発担当が高橋惇一という日本の方なので旨味を押した内容のものが多いと推察される。

今回供されたお酒も珍しいワインもさながらこの3月間のために作られた日本酒もあってとても興味と味わい深いものだった。

野蒜やうるい、浜防風などの山菜を伊勢海老の味噌のソースでいただく趣向。

次に出るメインディッシュのナイフも日本の鍛治で特注したもので恐ろしくなるような切れ味にびっくり。使用した後に毎日、厨房のスタッフさんが研いでいるとのこと。

メインディッシュはレアに火入れした伊勢海老をこってりと味付けしたものでどういった調味料を使用しているかは全く不明。でもかなり美味しい・・・・

食事は土鍋で炊かれた緑米とその上に食用の薔薇の花を敷き詰めたもの。

ご飯の中には大きくカットされた伊勢海老の身が入る。ご飯の味付けは不明だけど日本人好みの優しい味わいで旨味たっぷり。

日本の「しじみ貝」を模したデザートの中には柚子のソルベが入る。ソースは貴醸酒で作ったもの。

最後に白茶とともに苺をセミドライにした餅状のお菓子とスイートポテトを模した甘味。平たい皿には南方の柑橘の「カニステル」もあってびっくり。このようないただき方をしたんも初めて。言葉で味を表現できないのが何とも悩ましい。

当初は北欧料理という先入観で酸味のある料理が多いと思っていたけど日本の食材を独創的、先進的に昇華させながらも馴染みのある違和感のない優しい味わいに仕上げていることに敬服した。

この日提供されたお酒一覧。普通に販売されているものもあるけどほとんどが日本のワイナリーや蔵元でこのイベントのためにこだわりを持って作られたものばかり。

映画でも見たシェフのレネが厨房で指揮をとる姿も拝見した。一心不乱に30人くらいの厨房スタッフが働く姿は壮観であった。

仕事が終わり後片付けの風景。この時点ではレネはホテルの自分の部屋に入って休憩とのこと。

レネとスーシェフの高橋惇一氏のサインの入った料理本を購入して帰阪する。来店客のほとんどが東京からの客と言っていた。デンマークでのノーマのコース価格は1名3500デンマーククローネ(約6万7000円)だけど今回の「noma Kyoto」のコースは775ユーロ+サービス料10%で約12万5000円。しかしながら冬前にコペンハーゲンの店が2024年で新業態の店に生まれ変わるために閉店するという発表で、こちらのチケットが一人50万円で個人売買されていたとも聞き及ぶ。

この20年の世界のファインダイニングを牽引してきたこちらのお店での記憶に残る食事をいただくことができたことに感謝しながら帰阪する。


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